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執筆者の写真石塚

社会保障の歴史(医療・介護ソリューション研究所 多摩大学)

昨日、医療・介護ソリューション研究所(多摩大学)のフェローの方たちが運営なさっている勉強会に参加しました。アメリカの政治制度を研究なさっている小峰さんを講師に招き、聞き手が真野先生という感じ。友人の重光さんに招いてもらいました。ありがとうございます。


▼戦後の最初の設計について 戦後の日本の社会保障制度がどのように始まったのか。「GHQ労働諮問委員会社会保険報告」、「ワンデル勧告(アメリカ社会保障調査団の出した報告書)」がけっこうなベースになっていることを改めて認識。


また、当時の厚生省保険局(友納武人や内野千一郎ら)の方たちは、イギリスの「ベヴァリッジ報告」に影響を受け、健康保険法、国民健康保険法ならびに各種救済法を「国民共済組合法」に一本化する「社会保険部門における戦後対策(社会保険時報 1945年9月号)」という草案を出しているよう。


歴史的経緯は分かるが、思想的分析などはあまりされていない。今後の制度設計のために、少しくらい相対化して、分かりやすくしておいても良いだろうと思った。


※日本医師会 日本医師会創立記念誌(戦後50年のあゆみ) https://www.med.or.jp/jma/about/50th/


※社会保障に関するGHQ調 査報告の概要 と日本社会保障政策への影響 -労働諮問委員会報告書を中心に- http://a-plus.auhw.ac.jp/…/…/download.php/KJ00005433248.pdf…


※社会保障における社会保険法の形成と展開 http://www3.kumagaku.ac.jp/srs/pfd2/2-2/2-2-1.pdf


※国民皆保険への途―先人の偉業百年 前田 信雄【著】

▼その後の流れについて 1948年 医療法制定   病院の施設基準を創設

1985年 第1次医療法改正  医療計画制度の導入(必要病床数)

1992年 第2次医療法改正  特定機能病院の制度化  療養型病床群の制度化

1997年 第3次医療法改正  有床診療所への療養型病床群の設置  地域医療支援病院制度の創設  医療計画制度の充実  インフォームドコンセントの努力義務  総合病院制度の廃止

2000年 第4次医療改正  療養病床、一般病床の見直し  医療計画制度の見直し(基準病床数)

2006年 第5次医療法改正  都道府県の医療対策協議会の制度化  医療計画制度の見直し(4疾病5事業の具体的な医療連携体制)

2014年 第6次医療法改正  病床機能報告制度の創設  臨床研究中核病院の法的位置付け、地域医療構想の策定  医療事故調査制度の創設

2017年 第7次医療法改正  地域医療連携推進法人制度の創設  医療法人制度の見直し  (経営の透明性、ガバナンスの強化、分割や認定について)


▼安倍内閣の情報の流れ 安倍政権になり、内閣府、経産省中心に議論が進んでいる。社会保障改革にも影響が強くなっている。

健康・医療戦略推進本部(日本再興戦略) 経済財政諮問会議(内閣府) 財政制度等審議会(財務省) 社会保障審議会と中医協(厚労省)

経産省のヘルスケア産業課と、厚労省の関係性。そして、国家戦略特区ワーキンググループ、未来投資会議、税と社会保障一体改革、医療2035(保険医療政策)などの影響も。


▼非営利ホールディングカンパニー型法人制度 安倍総理は2014年のダボス会議で、「米メイヨー・クリニックのような巨大ヘルスケア提供機関を作るための持ち株会社制度などを通じて医療分野の発展を促す」と語ってしまったらしい。現在は姿を変えて「地域医療連携推進法人」になったが、この法人の運用についてまだまだ曖昧な点が多い。オフレコで〇〇会の話などが少し話題に…

※安倍首相、持続的な経済成長への決意表明―ダボス会議で基調講演 http://jp.wsj.com/…/SB1000142405270230440220457933705302551…

※Vol.132 安倍総理大臣と厚生労働省-ホールディングカンパニーをめぐる齟齬 http://medg.jp/mt/?p=5951


▼実証政治理論とアクター分析

実証政治理論とは政治学における方法論の一つでアクター分析はその中の中心。政治現象をアクター(登場人物や組織やシステム)の行為・選択の帰結と捉えていく。自己の利益・効用を最大化しようとするアクターの合理性仮定で帰結を推論していく。

システム的に解釈するとこうなるもよう。システムが異常な動きをするということは利益相反のフラグな立ちそうな予感。


アクターとは、対象システムの外部に存在し、対象システムとやりとり(相互作用)をする人や物またはシステムです。どのようなものかというと、


・アクターは、自らの目的を達成するために、対象としているシステムを利用します。システムを利用することで何かしらの「利益」を得ます。システムを何らかの解決策を提供してくれるものとすれば、アクターは、その解決策を利用する立場にあります。解決策の中には登場しません。


・アクターは何らかの「役割」を演じる人、物、システムです。具体的な登場人物ではありませんし、地位や職位でもありません。アクターは「インスタンス」ではなく、「クラス」です。


・アクターは、対象システムの外部に存在しています。顧客アクターと顧客エンティティを混同しないようにします。


▼国民の意識改革について

色々な知識や哲学のあるかたが集まっていても、これについてはまだまだ未知の部分。どうやっていけば保険制度の納得いく改革ができるのか、問いを続ける。


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